血圧脈波班

体動によるノイズの影響を低減可能な血圧脈波計測デバイス

ABSTRACT
  高血圧症による危険因子の発見には,日常生活中での高頻度な血圧計測が有効であるとされており,使用者への負荷が少ない血圧計測法としてトノメトリ法が注目されています.トノメトリ法による血圧計測では,体動によるノイズの影響が問題となっています.そこで,両手首の血圧脈波の波形から体動によるノイズのみを抽出し,抽出されたノイズと体動センサにより計測されたノイズが一致するように補正を行うことで,体動によるノイズの除去が可能な血圧脈波計測デバイスを提案しました.提案した手法で血圧脈波計測を行った結果,体動の無い脈波波形に対しての相関が,ノイズ除去前よりも8.2%向上しました.


素子連結接触子による短時間装着が可能な血圧脈波計測デバイス

ABSTRACT
  救急の現場における患者の血圧情報の取得を目的として,連続的な血圧計測法であるトノメトリ法による血圧計測が注目されています.しかし,力センサを血管直上の表皮に正確に押し当てる必要があるので,センサの位置調節に時間を要するという問題点があります.本研究では,血圧脈波計測デバイスのセンサ素子を複数連結できる接触子を用いることによって,計測可能な装着範囲を拡大させ,装着時間を短縮することを目的としました.試作した素子連結接触子を使用して血圧計測を行ったところ,使用しなかった場合と比較して計測可能範囲が1 mm拡大し,装着時間は30秒短縮しました.


3軸力センサを用いた血圧脈波計測デバイスにおける計測精度の検証

ABSTRACT
  高血圧症や脳卒中の診断には,日常的かつ連続的な血圧計測が有効であるとされており,使用者への負荷が少ない血圧計測手法としてトノメトリ法が注目されています.当研究室では3軸力センサを用いた血圧脈波計測デバイスを開発していますが,試作したデバイスについて生体における精度の評価を行っていませんでした.そこで,左手首に試作デバイス,右手首に市販血圧計を装着して同時に血圧計測を行い,それぞれの最高血圧・最低血圧・脈圧を比較することで計測精度の検証を行いました.検証の結果,より高い精度を得るためには装着再現性の向上や筋肉や関節の影響を低減する必要があることがわかりました.


補助デバイスを用いた装着の再現性向上が可能な血圧脈波計測デバイス

ABSTRACT
  近年,低負荷で連続的な血圧計測の手法としてトノメトリ法が注目されています.この方法では計測を行うためにセンサの位置・姿勢・押し込み量を適切な範囲へ調節することが重要です.この調節には精密な調節が必要で,計測を実施するまでに長時間かかってしまいます.そこで,手に密着するシリコーンゴムを内側に設置し,血圧脈波計測デバイスと結合可能な補助デバイスを試作しました.補助デバイスを使用することで,装着のずれの平均が約88 %,標準偏差が約76 %低減し,装着の再現性向上を確認しました.また,補助デバイスを用いることで,計測までにかかる時間が42 %短縮し,ユーザビリティの向上を実現しました.


皮膚伸展機構を持つ血圧脈波計測デバイス

ABSTRACT
  高血圧症の診断には,高頻度で日常的な血圧測定が重要であり,負担の少ないトノメトリ法を用いた血圧測定が注目されています.しかし,皮膚を通じて皮下の血管へ力センサを押し付ける際,皮下組織の悪影響によるノイズが乗ってしまう問題があります.本研究では,血管周囲の皮膚を伸展させることによってノイズを低減する方法を提案しました.試作した皮膚伸展機構を用いて血圧脈波を計測したところ,ノイズの振幅を29 %低減し,SNRは82 %向上しました.


体動による高さ変化の影響を低減可能な血圧脈波計測

ABSTRACT
  高血圧症の診断には日常的かつ連続的な血圧計測が重要であるとされています。血圧は心臓の高さで計測することを前提としているため,計測時の高さが変化してしまうと正しく評価できません.そこで,本研究では心臓からの高さを計測し,血圧を較正することができるデバイスを試作しました.計測時の高さを加速度センサで計測しながら血圧脈波較正実験を行い,200 mm下垂前後の最大血圧の誤差を86%低減できることを確認しました.


クロストーク低減のための凸型マイクロセンサアレイを用いた血圧計測デバイス

ABSTRACT
  高頻度な血圧計測は高血圧症の診断に有効と言われており,負荷の少ないトノメトリ法を用いた血圧計測が注目されています.従来のトノメトリ法を用いた血圧計は平面センサアレイが用いられていますが,クロストークによる計測の精度が低下してしまうという問題点があります.クロストークとは,荷重を受けた箇所の柔軟体の変形が隣接するセンサ素子に伝わり,直接荷重が加わっていないセンサ素子からも信号が出力されてしまう現象です.そこで,隣接するセンサ素子に柔軟体の変形が伝わりにくい凸型マイクロセンサアレイを試作しました.評価実験の結果,台形型の凸部を持つマイクロセンサアレイは平面型に比べクロストークを約10%低減し,感度が6.6倍に増加することを確認し,鮮明な脈波計測が可能であることを示しました.


トノメトリ法を用いたマイクロ血圧センサによるウェアラブル血圧計測

ABSTRACT
  高血圧症の診断のために,日常生活中でも血圧計測が可能なウェアラブル血圧計測デバイスが求められています.負荷が少ないトノメトリ法の利用が考えられてきましたが,体動によりセンサと血管の位置がずれてしまうと正確な血圧計測が困難であるため,安静な状態でしか利用できませんでした. そこで,ガイド構造により計測位置ずれの低減が可能なデバイスを試作しました.また,Bluetoothによる無線通信機能を持たせることで,日常生活中でも計測可能な血圧計測デバイスとしました.デバイスは最大厚さ18 mm,総重量142.8 gで,バッテリを含まない重量は44.0 gと軽量な血圧計測デバイスを実現しました.血圧脈波計測の結果,有線・無線計測での振幅は35.63 mVと123.11 mVであり,振幅の平均の差が4.4 mVであったことから,試作デバイスで血圧脈波計測が可能であることを確認しました.


血圧脈波計測のための片持ち梁構造による高感度2軸力センサ

ABSTRACT
  近年,高血圧症などの診断のため,日常的な血圧計測が必要とされています.2軸力センサを用いたトノメトリ法は押し付け力や位置ずれによる誤差を低減できるため,日常的な血圧計測に有用だと考えられます.しかし,センサの感度が低下してしまうため,血圧脈波を鮮明に計測できないという問題点があります.そこで,片持ち梁構造をもつ2軸力センサを試作しました.センサを平面配置することで梁構造を容易に薄くすることができるため,感度を向上させることができます.試作した2軸力センサの感度計測実験を行ったところ,垂直方向の感度は0.89 V/N,せん断方向の感度は0.32 V/Nとなりました.また,脈波計測実験を行い,従来のセンサに比べて,血圧脈波を鮮明に計測できることを確認しました.


血圧脈波計測のための中空構造を持つ高感度3軸力センサ

ABSTRACT
  近年,高血圧の診断のために,日常的な血圧計測が重要視されています.そのために被験者への負担が少ないトノメトリ法による血圧計測が試みられています. しかし,トノメトリ法で使用される力センサは感度が低いため,鮮明な脈波波形が計測できない問題があります.そこで,センサ内部に中空構造を持つ小型3軸力センサを試作することでセンサを変形しやすくし,感度を向上させました.感度計測実験を行い,従来のセンサとの比較をしたところ感度が約4.4倍向上することを確認しました.また脈波計測実験により,より鮮明な脈波波形が計測可能であることを確認しました.


網目状構造による伸縮部と非伸縮部を持つ脈波計測デバイス

ABSTRACT
  近年,健康状態の確認のための反射型光電式容積脈波法による,ウェアラブルな接触型脈波計測の研究が行われています.この方法では計測デバイスを皮膚へ接触させる必要があり,デバイスに伸縮性を持たせる必要がある一方で,脈波計測回路への影響を考えて伸縮してはいけない部分も必要となります.そこで,デバイスに伸縮部と非伸縮部を設け,デバイスには伸縮性を持たせつつ,計測への影響は抑えた脈波計測デバイスを試作しました.伸縮部は網目構造に,非伸縮部は基板を直線状にすることで伸びないようにしました.引張実験より,デバイス全体では5%,伸縮部は9%,非伸縮部は0.9%の伸びとなりました.また,脈波計測実験より,デバイスを伸縮させても計測への影響が少ないことがわかりました.


トノメトリ法と脈波伝播速度を用いた較正可能な血圧計測デバイス

ABSTRACT 
 高血圧症の診断には,日常的な血圧計測が有効であると言われています.カフにより腕を圧迫して計測を行うオシロメトリック法よりも,被験者への負担が少ないトノメトリ法が日常的な計測に適しています.しかし,トノメトリ法による計測は,オシロメトリック法などによる定期的な較正が必要となります.その為,カフによる加圧が必要ないというトノメトリ法の利点が損なわれてしまいます.そこでトノメトリ法と反射型光電式容積脈波法より得た脈波伝播速度から算出した収縮期血圧を用いて,トノメトリ法で計測した血圧を較正しました.評価実験により脈波伝播速度より算出した収縮期血圧の市販血圧計に対する誤差は27.7%から5.5%に減少することを確認し,較正の可能性を示しました.


トノメトリ法による血圧計測のための柔軟なマイクロ3軸力センサの研究

ABSTRACT
  高血圧症の診断や健康管理のために,日常的に計測可能で装着者の負担が少ない血圧の計測方法が重要視されています.そのため,被験者への負担が少ないトノメトリ法が日常的な計測に適しています.しかし,センサ押しつけ時に血管壁が平坦でないと正しく血圧が測定できないという問題があります. そこで,圧力方向とせん断方向の力を計測し,計測された力を合成して血圧の値を算出することで,この問題を解決しようと考え,フレキシブル基盤を用いた3軸力センサを試作しました.本研究では,センサ素子上の金属抵抗体によるひずみゲージの長さと太さを変更し,3軸力センサの基礎特性の違いを計測しました.金属抵抗体の長さを20mmと25mm,太さを0.1 mmと0.2mmで実験し,長さが20 mm, 太さが0.1 mmで最も高感度であることを確認しました.

小型3軸力センサを用いたトノメトリ法による血圧計測デバイスの研究

ABSTRACT
 近年,高血圧の診断のために,日常的な血圧計測が重要視されています.カフにより腕を圧迫する方法よりも,トノメトリ法は被験者への負担が少ないため,日常的な計測に適しています.しかし,センサの位置決め精度や,動脈壁が平坦でなければ正しく血圧計測できない問題点があります.そこで,圧力方向と2つのせん断応力方向の力を計測可能な小型3 軸力センサを試作することで,デバイスを垂直に加圧しているか判別し,動脈壁が平坦でなくても計測できるようにしました.評価実験により,垂直加圧の判別が可能であること,血圧圧脈波計測においては血圧値の誤差を低減でき,計測精度が向上することを確認しました.


体動による計測位置ずれ防止機能を持つ血圧脈波計測デバイス

ABSTRACT 
 高血圧症の高精度な診断のため,日常生活内で使用可能な血圧計が求められています.一般的な血圧計は計測のたびに腕を締め付けているため高負荷である問題があり,負担が少ないトノメトリ法の利用を考えました.しかし,この方法では体動による影響を受けやすいため,計測位置ずれ防止機能を持つ血圧脈波計測デバイスを試作しました.試作デバイスはガイド,脈波計測力センサ,高さ調節用アクリル板から構成され,模擬血管を用いた位置ずれ防止機能評価実験により,体動による計測位置のずれのガイドによる防止を確認しました.また, 試作デバイスを用いて橈骨動脈の血圧脈波を計測したところ,ガイドなしに比べガイドありでは,尺屈運動の前後で安定した計測を行うことが可能になりました.